ロマろぐ

オタクコレクターの人生後半戦記

紙のような描き心地を抹殺すると画力が上がった話

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蒸し暑い寝室にクーラー効かせてゴロ寝しながらiPadProで趣味のイラスト描き。

仕事で絵コンテを描いている息抜きにイラスト描くの楽しい。今年に入ってからずっと絵コンテ仕事だったので、線画力がブーストしております。

 

ところで、iPadProにはツルッツルのガラスフィルムを貼って描いてます。

 

プロのイラストレーターさんのメイキングや動画観ると「紙のような描きごこちのペーパーフィルムがいい!」とか「板タブに紙を貼ると、紙のような描きごこちが生まれてグッド!」とか言ってるじゃないですか。よく考えたら、紙で描いて上手い人達の話なんですよね。こっちは紙で描くと下手だからタブレットに逃げているんで。

最初は僕もまに受けてペーパーフィルム貼ってたんですよ。プロが言うんだからペーパーフィルムじゃないといかんのかなぁ、と。でも結局紙と変わらない下手さ。

しかしある時ふとペーパーフィルムを剥がして描いてみたら、まぁ描きやすい!

僕は筆圧がかなり低く、手首を使って描く描き方なので、紙の抵抗にすら押し負けていたのかなと。無抵抗のツルツル画面だと、ストロークがひっかららず思う通りに動いてくれます。揺れは手振れ補正で相殺。デジタルバンザイ。

 

思い込みってめんどくさいね。今は絵を描くのがすげぇ楽しいです。ツルッツル~

😗2021/07/18

まぁごらんの通りまたブログの更新が滞ってまして。せっかくお金払ってPro版にしてるのに。TwitterとFacebookとかのSNSは結構ポストしてるのになぁ、何が違うのかなぁ、と考えてて、

 

あぁ題名のせいか、とふと気が付いた。

 

題名があると、どうしてもちゃんとしたことを書こう、と身構えてしまうようで。腑に落ちてしまった。

 

今後題名なしで運用してみます。いい感じにまとまりそうだったら題名つけて本格的に書く、という感じでフレキシブルに。

または1か月後くらいに適当に題名をつけていくユルさで。

Newポケモンスナップ コンテ担当しました

 

ちょっと遅れ気味の仕事実績。

NintendoSwitch「Newポケモンスナップ」にて、イベントシーンのコンテ、ディレクションを担当しました。

 前作が出た当時はまだスマホも無くコンビニでゲーム内で撮った写真をプリントする、という形でしたが、今はSNSでシェアできたりで、遊びの幅が増えましたね。

 撮れたはいいけど、編集画面で良いレイアウトを探ろうと、プレイ時間よりも長く編集作業をしてしまう映像屋の悲しい性。

 

iPad Pro 11インチ(2021)がやってきた

iPad Pro 11インチを購入。M1チップ搭載の2021年最新版。

それまで使っていた12.9インチ(2018)はまぁ僕には大きすぎた。重い。かさばる。MagicKeyboardをつけると1キロ強になる。ノートPCの重さじゃん。どこでもサクッとイラスト描いたりテキスト打ちたい、というニーズにはマッチしなかった。
僕は絵を手首で描く方で、結局10センチくらいの描画スペースに収まってしまうので、11インチでも十分だった。

これらは使い続けてみないとわからないので、Appleストアとかで試してみてもわからなかったかな。

新型12.9インチの方は、画面がミニLED搭載でコントラスト比がークリエイター向けでーとかのうたい文句だけど、どんなにパンツいっちょで逆立ちして目からピーナッツ食べても有機ELには敵わないので、現行と同じ液晶で十分。
まぁ「クリエイター向け」と言ってる人はクリエイターではないことが多いしね。

 

一番期待していたのが、Procreateでのレイヤー上限の増加。そのためにメモリ16GB搭載の1TB版にした。(Procreateはメモリの容量で上限レイヤー数が変わる
B5サイズ150dpiのキャンバスで確認してみたところ、

4GB(iPad Pro 2018) 72枚
16GB(Pad Pro 2021) 127枚

 あれ?4倍のメモリなのに1.8倍くらいしか増えてない。
これはProcreateがまだM1iPadに最適化されてないからなのか、iPadOSのバージョンアップで対応するのか、OSがアプリに機能制限を課しているかはわからない(機能制限が一番怪しい)。そもそも、iOSでは搭載メモリが確認できない謎仕様なので、本当に16GB積んでるのかしら、という不安もあったりする。

Procreateのレイヤー制限問題はかなり厳しかったので、期待していただけに少し残念な結果に。まぁ、取り回しがよくなったし、重いプロジェクトでもサクサク動くようになったのでよかったかなー。でもなー。レイヤーなー。

 

追記:やはりRAMの制限があった模様。

iphone-mania.jp

 

性能も十分だと思うので、ToonboomさんはStoryboard ProのiPad版をリリースしてください。仕事がさらに捗ること間違いなし。
Harmonyも出ると、アニメ作画がiPadで完結するので、アニメ業界のデジタル化がぐっと進むと思うよ。

自作キーボード「Preonic」を作ってみた

こんにちは、自作キーボード沼。

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いままでいろいろ既存のキーボードを買ってはみたものの、どうもしっくりこなかった。信者の多いHHKBは打鍵のヘコヘコ感がどうも嫌、とモヤモヤし続けて早幾年、とうとう自作キーボードに手を出してみたよ。

 

本体・パーツの購入

流石にはんだ付けとか基板からの制作はめんどいので、まずはキットで様子を見ることに。海外通販サイトDropから「Preonic」キーボードキット(基板とケースのみ)を購入。

drop.com

直列配列キーボード。MZ-80Kみたい

作者曰く、一般のキーボードのキーが互い違いの配列なのは、その前身のタイプライターの機能的な制約を引き継いでいるだけで、それ以外の何の意味もないそうだ(ホームポジションから右手人差し指でYキーを押そうとすると結構遠い)。
人間の指的には直列の方が使いやすいとのこと。なるほど。スマホのソフトウェアキーボードも直列だったりするので、最先端なのかもしれない。MZ-80Kすげぇな。流石、目の付け所がシャープだ。

同じプロダクトで数字キーの配列を省いた、さらに小さい「Planck」キーボードがあるけども、さすがに数字を拡張キーを押しながら打つのは面倒くさいだろう、というのと、日本語入力にはキーが多い方がいいだろう、ということでPreonicを選択。2週間くらいで到着!

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 キースイッチはCherry軸が使えるので、日本のAmazonで購入。
キーキャップはAliExpressからレトロ調のPreonic用キーキャップ(無地)を取り寄せた。
キーマップはカスタマイズする予定なので、キートップシールを日本Amazonで購入。

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組み立て・動作確認

組み立ては公式のYoutube動画を参考に。基本はビス止めのみ、はんだ付けなしでサクサク。


www.youtube.com

省スペース設計なので、普通のキーボードと違いスペースキー以外同じキーの形。押し間違いがちょっと怖いので、周りのファンクション系のみ青軸クリッキーにして、打鍵音で判断できるようにしてみた。スイッチの配線?は指で押し込むだけでOK。

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キーキャップを被せて完成。

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USB(USB-Cなのがありがたい)でPCに繋いで、キーボード入力確認サイトですべてのキーが生きているかどうかを確認。一発でうまくいったようだ。

キーマップの変更

さて、ここから本番のキーマップの変更。自作キーボード系はQMKConfigulatorというサイトでキーマップを変更するようだ。

config.qmk.fm

最近の自作キーボードには「レイヤー」機能が備わっている。ある特殊キーを押すか押し続けると、別のレイヤーのキーマップにすげ変わる。ノートPCのFnキーを自由にカスタマイズできるようなイメージかな。

まずは基本のレイヤー0のカスタマイズ。

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特殊な配置に慣れ切っちゃうと、別のキーボードを使うときに支障が出そうなので、ベースは極力配置をいじらない方向で。
F13に英字入力、F14にIME日本語入力、F15に英字・日本語切り替えを設定して、Macのように親指でIME切り替えができるように設定。

右下のファンクション系が結構余るので、「シフトキーなしで打てると楽な、よく使う記号キー」を配置。
日本語キーボードで唯一評価している「シフトなしで打てる”@”」や、USキーボードだとシングルクォーテーションのシフトがダブルクォーテーションなんだけど、日本語入力でシングルクォーテーションなんて殆ど使わないので、レイヤー機能で逆にした。

 

次はスペースバーの隣のキーを押すと移動するレイヤー1(Lower)、レイヤー2(Upper)の設定。

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括弧系のキーって3種類が2か所に分かれてるのって無駄じゃね?と常々思ったので、レイヤー機能を使って一か所にまとめた。
「9」「0」キーをシフトキーで普通の括弧、Lowerで角括弧、Upperで波括弧が出るようにした(波括弧なんて全く使わないんだけども)。
HHKBを見習ってカーソルキーを別レイヤーに。右手ホームポジションに配置して指の移動を最小限に。

 

最後はLowerUpper同時押しのレイヤー3の設定。

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このレイヤーはファンクション系。ファンクションキーは日本語変換でよく使うF7、F8、F10を数字キーLowerUpper同時押しで打てるようにしてみた。

キーマップの転送

設定が終わったら、この設定をキーボード本体に転送してファームウェアを書き換える。

まず、QMKConfigulatorサイトで「COMPILE」ボタンを押し、設定をコンパイル。
コンパイルが終わったら、「DOWNLOAD FIRMWARE」でダウンロードしたzipファイルを解凍。

次に、QMK Toolboxという転送ソフトを起動して、解凍したファイル(フォルダの中にあるbinファイル)を転送してファームウェアを書き換える。

github.com

ここでなぜか転送がうまくいかなかった。ネットの情報を頼りにQMK Toolboxでいろいろ試行錯誤してみたけど、結局タイミングの問題だったようだ。
USBで繋がっていればいつでも書き換えられるわけではなく、キーボード背面のブートスイッチを押したあとにQMKToolboxのFLASHボタンを押す、という手順じゃないといけなかったらしい。

ともあれ、うまく書き換えられたので、シールを貼って完成。

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フォントがダサめだけど満足満足。とりあえずこの構成で運用してみて、不都合あれば随時変えていこう。

できればキーキャップも3Dプリンターで自作して、自分好みの色にしたいなぁ。パピコン色とか。

「好き」を仕事にしない方がいいのか?

 

Twitterで気になるツイートが流れてきた

 

 

うっわーわかるわー、と思いつつも、じゃぁ「好きを仕事にすると辛い」「好きで入ったヤツは使えない」となるか、というと必ずしもそうではないと思う。

というのも、僕自身が物心ついたころからビデオゲームが大好きで、最近でもポケモン本編にも関わらせてもらっているくらいゲーム業界にお世話になっているから。好きをちゃんと仕事にできて、20年以上仕事を続けている。しかも楽しい。業界の友人も、好きを仕事にして結果と評価を得ている人は多い。

 

僕の経験も踏まえると、好きを仕事にできる人は

  • 『作る事』自体が「楽しい」
  • 好きと得意を分けている
  • よい妥協ができる

という特徴が多いと思う。 

 

『作る事』自体が楽しい

 僕が小学校低学年の頃、祖父が靴屋だったので、上履き靴の透明プラスチックのケースがゴミとして出ていた。そのケースの平たい部分を切り抜いてセルに見立て、マッキーで絵をかいて父親の8mmフィルムカメラでセルアニメーションを撮ろうとしたことがある。
 フィルムが無くてできなかったけど、セル絵を描くまでは到達した。すんげぇ楽しかった。

幼稚園くらいの時にはなんとか紙工作でスペースインベーダーを作れないか、と考え、設計図を描き、紙と割りばしとゴムで作った憶えがある。まぁ、幼稚園生の考える事なのでうまくいかなかったし、紙もペラペラでショボショボだったけど、作っているときは最高に楽しかった。

作ったものを褒めてもらった、などの成功体験はあまりなかった。別に他人に褒めてもらわなくてもいい。作る事自体が楽しかったし、今でも暇があれば何か作ってる。たとえ完成しなくても、手と頭を動かして出来上がっていく過程が楽しい。

「漫画家が息抜きに同人漫画を描く」というのはすごくよくわかる。

好きを仕事にしている知人のクリエイターたちも「子供の頃に家に無かったから作ろうとした」経験者は多い。

 

ところで僕の甥(中学生)はゲーミングPCを持つくらいゲームが好きではあるが、じゃあ作る事自体が好きなのか、というとそうでもない。

甥が「塾でプログラミング習ってるから、学校のプログラミングの授業が楽勝で退屈だわー」とミサワ風に言ってきたので「じゃぁその退屈な時間に何かゲーム作ってる?」と聞いたらキョトンとされた。

まじか。僕は退屈な授業中にノートに手書きでゲームのBASICソースを書いてたぞ。と、80sおっさんトークをする以上に「作る人」と「やる人」の意識の断絶に驚いた。

 

 もしかすると「作る事が好き」という感情は、生まれたときに決まってるのかもしれない。または何かの拍子にスイッチが入るものなのかもしれない。

よく「若い子は恵まれているから、創作意欲が無い」と言われるけど、それも疑問。なぜなら宮崎駿や手塚治虫などの巨匠たちは、多くは家が恵まれたいいとこの子(手塚治虫に至っては、戦前に家に映写機があり、ディズニーのフィルムを購入して上映していた)だからだ。

同時代の子供よりも恵まれた環境の子供の方が、創作に従事できているのを見ると、その説はあまり信頼できない。

 

好きと得意を分けている

人はほぼ、「やりたいこと」と「得意なこと」は違うもので。たまに一致している人がいるけど、それは「天才」「天職」と呼ぶ。

ただ、好きなものに「得意」で居場所を作ることは可能だ。好きな業界に入り、仕事を続けるのが目的なら、得意は手段だ。

 

僕は高校大学と格闘ゲームブームが直撃し、セガサターンだプレステだ、と、盛り上がっていたので、僕も大好きなゲーム業界に入りたかった。

それがもうことごとく落ちた。大好きなセガやイケイケのコンパイルとかも受けたけどかすりもしなかった。お祈りー。

だからと言って、あきらめてはいなかった。というか、あきらめる選択肢がそもそも無いくらい好きだったからね。別の人生は考えたこともなかった。

さてこの場合、取れる「努力」の選択肢は2つだ。

  1. スキルは現状のまま、とにかく会社の数を受けまくる。
  2. 何かしら得意をアピールできる作品を作り、1社の採用確率を上げる。

1の場合、1社の採用確率が10%としても、100社受けようが確率は10%だ。1000%にはならない。この努力は非常に非効率だ。ならば2しかない。

まずは自分の得意を見極めることだ。プログラム、ドット絵などいろいろをデジタルメディア(電脳倶楽部)にズンドコ投稿した。その反応、掲載率を見て、僕が得意なのは当時流行りだした3DCGアニメーションだとわかった。

そうなると道が見えてくる。まず就職浪人の1年間で短編の3DCGアニメーションをX68000で作り、箔付けのためコンテストに応募して賞を取り、まずはアニメの仕事をした。そこで経験と知識を得てナムコに入ったりPS2のガングレイヴのムービーパートを作った。

回り道をしたけど、間接的に、得意を生かして増やして少しずつゲーム業界での居場所を確保していった。

 

www.youtube.com

 

現在はゲームのデモシーンのコンテやディレクション、制作を主に担当している。ゲーム作りの構造と知識と、アニメや映像作品の知識と経験と理論の両方を併せ持って、それを組み合わせてゲーム内ムービーを作れる人は、ゲーム業界にはまだあまりいないと思う。

友人のクリエイターも、やはり自分の得意を生かして業界内の自分の居場所を確保している。モデリングが得意、ロボが得意、ということで信頼を得て仕事を続けている。

 

「いい妥協」ができる

 数年前、宮崎駿が3DCGに初挑戦するドキュメンタリーが放送された。カワンゴがゾンビ映像見せて怒られるあれだ。

毛虫のボロのアニメーション制作で、生まれたばかりの毛虫がはじめての世界に驚く演技を作る、という内容だったが、CG班には演技の引き出しが無かったようで、何度もリテイクを重ねていた。すると宮崎駿はその演技のカットを欠番にして別の演出に変えたのだ。「宮崎駿でも妥協するのか!!」と驚いた。

「妥協」と聞くとマイナスなイメージがあるけども、「与えられた条件内で良いものをキープする」に近い。宮崎駿も、リテイクの時間を浪費するよりも、作品全体を見ればさほど印象が変わらずCG班が作りやすいBプランを提案した、という感じだろう、時間とお金は有限。拘る重さと拘らない軽さを併せ持つバランス感覚が、やはり長く続けられるのだろう、

僕もやりたかったことができないこともあるけども、それは次の機会や作品でやればいいか、いいネタがひとつ増えたぞイヒヒヒヒ、と前向きにとらえている。

 

まぁ、いろいろ書いたけど、好きだけでも仕事にできるし続けられる、という例も知ってもらえると嬉しいっす。

ただしかなり頭を使う。「ゲームすきー!はいるー!」だけでは難しい。情報がプレーンなポッと入りとは違い、ガッチガチに好き嫌いがはっきりしている。「セガが好きだから任天堂の仕事なんてしたくないぜー!」となると、入り口も生き残りの確率も狭くなってしまう。

しかし居場所を見つけられれば、ポッと入った人以上のポテンシャルは発揮できる。